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 galette 

 Bretonnes 

 

 ガレット・ブルトンヌ 

まるい平らな蹴り石のことをフランスでは「ガレッ」と言い、その形に似ていることから、まるい厚焼きクッキーのことを「ガレット」と呼びます。バターの割合がとても多いリッチな配合で、フランスでは仕上げに#の模様を描く事が決まりの伝統菓子です。

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赤ワインガレット物語 その1「カタシモワイナリーさんとの出会い」の巻

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とあるお店のガレットブルトンヌの美味しさに驚き、「こんなおいしいガレットを作lりたい!」との想いから名付けたのが、「パティスリーガレット」なんです。

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そもそもの「赤ワインガレット」のお話です。
もちろん一番の押しはガレットブルトンヌ!でも、かなり地味なお菓子です。そんなガレットをとにかく手に取ってもらいたい、食べてみてほしいと思い「ガレットだから、ちょっとガレットで遊ぶのもアリかな?」ガレットの味の展開を考えたのでした。
いろんなテイストのガレット。そこで「ピン!」とひらめいたのが赤ワインガレットでした。とりあえずラム酒の代わりにワインを使って… ワインを煮詰めて… なかなかワインの味と香りがガレットにのってくれません。何度も試行錯誤を繰り返しましたが、なかなか上手くいかず、大きな壁にぶち当たっていました。ちょうどその頃「大阪産(おおさかもん)の商品を考えてみたら」と大阪府の方からアドバイスをいただき、そして、柏原の「カタシモワイナリー」さんを紹介していただきました。
 そこで「ワインの事はワイナリーに聞け」とよく言われるように、何かヒントがあるかも知れないと思いカタシモさんに出かけていきました。

その2に続く~

赤ワインガレット物語 その2「麻記子さ~ん、早すぎ~」の巻

 

前回の続きです
「何か赤ワインガレットのヒントがあるかもしれない」そんな期待をしながらカタシモワイナリーさんに出かけて行きました。ガレットから30分ほど、柏原の山のほうに向かいます。歴史を感じる町並みの中に「柏原ワイン」の文字。門を入るとすぐにワインの香りが漂ってきます。おっきな樽の間を進んで工場の奥、古民家を利用した事務所を訪ねました。「ようこそ~」とキラキラの澄んだ声で迎えてくれたのは醸造部の高井麻記子さん。「そんじゃとりあえず、行きましょう」と工場へ連れて行っていただきました。「ここが、ワインを寝かす部屋」「ここがビン詰め作業場」「この樽でぶどうを絞ります」次々と駆け足で解説をしながらワイン樽のチェックも「ごめん〇〇さん、もう一重シート掛けといて下さい」などなど、麻記子さんがワイン樽を覗く仕草はとても楽しそうで、「ワインは生き物なので、いつも気にかけてないとダメなんです」と笑顔がこぼれます。工場の中の階段を登ったり樽の間をすり抜けたり「うちは観光ワイナリーじゃないので、狭くてすいません」と、どんどん進んでいくペースに遅れないように、説明を頭に入れながら「麻記子さ~ん、早すぎ~」(笑)
 最後に案内をして頂いたのが、カウンターのある素敵な建物、そこで赤ワインガレットがうまくいかない話を聞いていただきました。「そうですね、これ飲んでみてください」と順にいろいろなワインをテイスティング「濃いめのワインですが、どれか合いますか?」「どれも美味しい!でももっとパンチが欲しいんです」お菓子に使うワイン選びとなるとさすがに麻記子さんも困った様子です。「ちょっと気分を変えて特別なビンテージワイン飲みましょう」と言ってカタシモワイナリーの歴史やワイン作りの話を聞きながら、こりゃたまらん美味し~いワインを口に含んでいた時に「いいものがありますよ!」と今度は工場の片隅の冷蔵コンテナへ。「私、前押さえてますので、久保さん、奥のクレート出してくださ~い」一番奥から出てきたのは、その年に絞った赤ワインの皮でした。何かに使えないかなと思って取っておいたものだったのです。「とにかくこれを使って考えてください。きっと使えると思います。」 麻記子さんのキラキラ笑顔に見送られながら、ぶどうの皮と、柏原産ぶどう100%使用の赤ワインを持って、ちょっとほろ酔いでワイナリーを後にしたのでした。
 帰り道、「ガレットの生地に皮を入れて…」とアイデアを話しながら、出来上がりを予想してウキウキしていましたが、なかなか…

その3に続く~

抹茶ガレット

赤ワインガレット物語 その3「今年の出来は…」の巻

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とあるお店のガレットブルトンヌの美味しさに驚き、「こんなおいしいガレットを作lりたい!」との想いから名付けたのが、「パティスリーガレット」なんです。

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前回の続きです
 カタシモワイナリーさんからもらって帰ったぶどうの皮は、ワインを絞った残りではありますが、とてもいい香りです。早速使いたいところですが、一つ問題が、ワインにするときは「ぶどう」まるまま、つまり皮と種と小枝もタンニンの為に一緒に潰します。もちろんそのままでは生地に入れることが出来ません。そこで、まず分別です。オーブンで乾かしてふるいにかけて… 水に浮かして… よく乾かして手で揉んで… とうみの要領で風で飛ばしてみたり… ぐるぐる回して遠心分離… フードプロセッサーに… いろいろ試しましたが、どれもダメ~。最後の手段でハンドピッキング…「チーフ、絶対無理です~」そりゃそうなんです。ぶどうの実の中に種があるので種だけを取ろうとしたら、一粒ずつ皮と種をはずしていかなくては駄目なんです。せっかく頂いたぶどうの皮、何とか使いたいと思うものの途方に暮れてしまいました。仕方がないので分別をあきらめて他の方法を探ることにしました。

 最初の試作で配合のラム酒を赤ワインに置き換え試したのですが、それでは色も味も全然足りません。その時点でワインを直接足すことはあきらめていたのですが、それならこの皮をワインで戻して一晩おいて… それなら二晩置いて… さらに一週間… 少しは濃くなるのですがまだまだ使えません。そこで鍋で炊いてみることにしました。沸騰するまで… まだまだ、でも何か少し見えてきたような、1/2まで煮詰めてみると「おっ!」これならと試作… 1/4まで… 「もう少し!」 そして最終的にたどり着いたのが1/10。つまり赤ワインにぶどうの皮を入れて、鍋でフツフツ、店中がワインの香りに包まれながら、1/10まで煮詰めて、裏ごしして、濃厚な赤ワインコンクを作ったのです。もちろん濃すぎて、しかもタンニンもきついので飲むことはできません。でもそれがガレットに入ると、ガレットの甘さを赤ワインの渋みがす~っと切ってくれるのです。そのうえ赤ワインの香りが、あとから湧いてきます。狙った以上のおいしさにたどり着くことが出来ました。

一年を通して柏原産ブドウ100%使用の赤ワインとその絞り皮を使った「赤ワインガレット」を作っています。でも秋は特別です。この時期のワインはその年の新酒、しかも一次発酵をしただけ、それも発酵樽の一番の上澄みなんです。贅沢に煮詰めてしまいますが、みずみずしいフレッシュさがあります。そしてワインにあるように、赤ワインガレットにもビンテージがあるのです。コクも渋みも色もその年によって違います。「今年の赤ワインガレットの出来は…」なんて言いながら食べるガレット!ちょっといいかんじですよ~。

さて、2018年物の赤ワインガレットの出来はどうなるでしょうか?そろそろ仕込みが始まります。お楽しみに~

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